三角形の線分比を求めるやり方ということで前回記事を書きました.
↓ こんなやつです(タップで開閉)
この線分比の図を見ながら解いていくことになります.色んなパターンでやってみて使えるようにしていきましょう.
前提として必ず問題には2組の線分比が与えられています.合計で6本の線分(三角形の辺 3本・内部にある3本)のうち2本の線分比が与えられることですべての線分比が決定されるからです.
6本のうち2本を選ぶ組み合わせは15通りありますが,大きくわけて次の4パターンになります.(外外・外内・外内・内内)
さて,実際に解いていきます.
外外
この三角形で線分比を出していきましょう.メネラウスの定理における逆キツネが見えてきます.があえてすべての線分比を求めるやり方で行きます.
PCとQBの数字が異なっています.このままでは元の図を使うことができません.
勝手に比をいじります.Aから遠いところの比が一致している必要があるからです.
そこから,222・333・444と書き入れていきます.
さらに頂点に近いところを(足して)埋めていきます.
これで,4:5あるいは6:3(2:1) と線分の比がでてきました.
外外 (hard mode)
少し難化させると,どうでしょうか
図の縮尺がおかしくはなりますが,PC→3とかわるパターンです.どう考えますか?
ここでも元の図を使うためにはPC・QBの数値を揃えておく必要があります.この2と3の最小公倍数を求めて,それにあわせていきます.
元の図と見比べてください.PCとQBが a になっているのと ここで 6 となっているのが一致しています.
先ほどと全く同じ手順でいけますね(省略).
次いきます.外外その2
これもFOXが見えていますね.メネラウスを使って出す問題だと思いますが,やはりキツネが見えない時もあると思うので,すべての線分の比を出していきましょう.
まずBから遠いところの比をみて,4:4に合わせていきます.勝手に線分を書き入れることもします.
ここまできたらAをみて333,Bをみて444,Qをみて444,そしてAに4+4, Bに4+3, Qに4+3 を書き入れていきます.
これで6つの線分すべての比がでました.
次です 外内パターン
Bをみて2が最初から共通なのでAみて111,Cみて111からそのまま進んでいける形です.
時に最小公倍数まで求めて比を調整することもあるので,矛盾なくそのまま進んでいける問題はより短時間で求めることができます.
この外内パターンを少し難化 (hard mode) させます.
b→2 a→1 と考えると, a+b=3 になりますが,右図の a+b に相当するところには 2 が見えるので矛盾が生じ,このままの a b c では使用できません.こういうときに最小公倍数を用いるとうまくいきます.3と2を一致させるために最小公倍数の6に対して合わせていきます.
ここまで来ると,さきほどと同じように線分比を埋めていくだけになります(略)
次は 内内のパターンです
このパターンだと,もし 3: 1 (3+1=4) と1: 4 (1+4=5) のそれぞれの和が等しいときは easy mode としてそのまま解いていくことができるのですが,ここでは和の合計が異なるため,比を調整することが必要になります.
(もし,メネラウスの定理を使うなら外分点が3つになったパターンになるし,チェバの定理使うときも外分点が2個のパターンになりそうなので難易度上がりますね.)
右の三角形をみてください.BEあるいは CFなど,内部にある線分は,比を足すと a + b + c になるというのに注目してください.このように比を足したものが一致しているとそのまま右の元図が使えます. a+b+c = 〇 になるように比をあらかじめ調整しておいてあげるとよさそうですね.
左の三角形では BR で 3+1 =4 , PCで 1+4=5 が見えているので,これが足して同じ数だったらいいなと考えるわけです(このへんは慣れてくるとなんとなくわかってくるやつです).
BRのところをあえて5倍して 15: 5 にして,PCのところを無理やり 4 倍して 4: 16 にします.するとどちらもたして20になるので,右の図の線分比を当てはめていけようになります(4と5の最小公倍数が20なのでそこを目指しました.強引ですが線分比でうまくいかないときは最小公倍数を使います).
Bから遠いところの比として5,Cから遠いところの比として4がでましたので順に書き入れていきます.あとはパズルみたく,5+〇=16 を考えてもいいし,5+4+〇=20 あるいは 〇+4=15 のどれを考えてもいいので,残り11を書き入れて完成です.
もうちょっと数学らしく解くやり方もあります.左右の三角形を見比べて
与えられた比から両者比較して
$ 3:1 = a+c : b ⇒ 3b = a + c \cdot \cdot ① $
$ 1:4 = c : a+b ⇒ 4c = a + b \cdot \cdot ② $
①と②から $ 3b - 4c = c - b ⇒ 4b = 5c ⇒ b : c = 5 : 4 $
$ b= 5, c= 4 $ とすると,①②いずれからも $a = 11 $ が得られるため
$a: b: c = 11 : 5 : 4 $と考えて良さそう(4b = 5c を ①か②に代入でもOK)
求めた $a, b, c $ をそれぞれ当てはめて,すべての線分の比を出すことができます.
以上で,だいたいのパターンを練習できたかと思います.メネラウス・チェバの定理を使えるようにしておくのに加えて,線分比の図から出すやり方も手札として持っておいて損はないと思うので,是非参考にしてみてください.