集合の要素の個数をあつかう際に出てくる個数定理ですが,感覚的にわかりにくかったり,覚えにくいと感じる人もいると思います.
個人差があるとは思いますが,加法と減法がまじっているものは感覚的にやや難しく,加法のみの式のほうが「わかりやすい」かと思います.
例えば, 115-79 という引き算を計算する時に直接引き算をするよりも, 21 たして (100にして) 15 を足す $ 21+15=36 $ を計算をするほうが簡単に思います.
引き算はできるとしても,足し算の方が考えるのが楽ですね.
2つの集合の個数定理は
$ n(A \cup B) = n(A)+n(B)-n(A \cap B) $
です.AとBの重なった部分を引くことで A U B がわかるので,そこまで難しくはないですが,3つの集合になってくるとイメージがしにくくなります.
ですのであえて式を変形してみます.
$ n(A)+n(B) = n(A \cup B)+n(A \cap B) $
加法のみの式になりました.
変形することで式の意味が変化しています.
$ n(A)+n(B) $
$ n(A \cup B)+n(A \cap B) $
それぞれが指し示す部分が図でみると一致し,重なり部分は 1,2,1 となっています.
このように重なり部分が 1,2,1 の状態を目指して両辺を作っていく,と認識できれば
$ n(A)+n(B) = n(A \cup B)+n(A \cap B) $
がイメージしやすくなると思います.
3つの集合の時を考えてみます.
$ n(A)+n(B)+n(C)+n(A \cap B \cap C) = n(A \cup B \cup C)+n(A \cap B)+n(B \cap C)+n(C \cap A) $
と加法のみの形に変形できますが,これは
図のように重なり部分が 111,222,4 になっています.左辺・右辺がそれぞれ
$ n(A)+n(B)+n(C)+n(A \cap B \cap C) $
$ n(A \cup B \cup C)+n(A \cap B)+n(B \cap C)+n(C \cap A) $
となって,同じ領域を指し示すのですが,そのへんを考えていきます.
3つの集合だと細かく分けて8つの領域が存在するのですが,集合Aに所属する領域を「A」のように書き入れてみます.($ A \cap B \cap C $ を 「ABC」 と記載)
$ ↑ n(A)+n(B)+n(C)+n(A \cap B \cap C) $ 重なり部分が 111,222,4 と確認できます.
右辺については,次のような図になります.ここでは$ A \cup B \cup C $ をABC, $ A \cap B $ をAB のように記載しています.
$ ↑ n(A \cup B \cup C)+n(A \cap B)+n(B \cap C)+n(C \cap A) $ 重なり部分が 111,222,4 と確認できます.
足して引くよりも,目標に向かって足していく方が,感覚的にわかりやすいかと思いますがどうでしょうか.
定理も見方によって違って見えてくるので,いろんな見方をするという意味でも参考にしていただければと思います.